転勤などによる引越し、新しく家庭を持つなど、新しい土地に移ることが多いのも四月です。なれない新しい土地に移ってきて、やはりなにかとたよりになるのはご近所です。「向こう三軒両隣り」というのが昔から近所づきあいの範囲でした。近ごろは、家の建て方や世帯数まで雑然としてきたので、このことばがそのままでは通用しないかもしれませんが、その心づもりで、引越してきたら、さっそく挨拶をしておきましょう。また、うっかり忘れがちなのが、これまで住んでいた隣り近所への挨拶です。引越しの数日前に、「何日に引越します。なにかとお騒がせすると思いますがよろしく」と予告の挨拶をしておきます。当日荷物を送り出したら、家の内外をきれいに掃除します。「たつ鳥あとをにごさず」ということばがあります。私は今日までずっっと借家住まいで、もう十数回引越しをしましたが、いつも長いあいだ拝借していた人さまのお家を出るときは、きれいにしてお返ししています。いよいよ出発のときには「お世話になりました。ごきげんよう。あちら方面にお出ましの折りにはお立ち寄りください」などと、感謝の挨拶をしてまわります。
病気見舞いは、弔問と同じくらい気が重いものです。骨折で入院したということであれば、いずれ治るという見込みがあるため、比較的気軽にお見舞いができます。しかし、回復の目処が立たずに長期療養しているとか、ガンなど重い病気のときは、お見舞いするほうも神経をつかってしまいます。最初に注意する点は、入院直後のお見舞いは避けるということ。入院した人と親しければ親しいほど、すぐ病院にかけつけたくなるもの。しかし、それは相手にとって迷惑なことなのです。お見舞いに行く前に、ます家族に状況を聞くことが必要です。症状や入院した理由によっては、次のケースのように「お見舞いしないのが最高のお見舞い」ということもあるのです。・盲腸炎などの短期外科手術の患者の場合。笑ったりすると、傷口が開くことがあります。・出産間近で産婦人科病院にかつぎ込まれた場合。見舞い客の相手ができません。・子供の患者。人が来ると興奮するため、症状が悪化したり、夜眠れなくなったりすることがあります。・あまり親しくない人。「なぜお見舞いに来たんのだろう?」と相手がいぶかしがることがあります。・顔面をケガした女性患者の場合。女性心理として、顔を見られたくないはずです。皮膚疾患など。表面に出る病気の場合も同様です。
名刺は原則として、目下の者が先に渡すことになっている。問題は渡すタイミングである。駅頭で見かける風景だが、電車を降りてくるのを待ちかまえて渡す人がいる。渡された方は、当然、立ち止まるから後から来た人に追突されたり、小突かれたりする。なかには駅の階段を降りながら名刺を渡すバカもいる。渡された方の煩わしさを念頭においていない。名刺の受け渡しは、剣道や柔道でいう打ち合いと心得るべきだ。両者がすっきりと立ち向かって(座敷の場合はお互いが正座して)、目下の者が組織・所属部署・自分の名前をはっきりと言いながら両手で名刺を差し出す。手の高さは相手が受け取りやすい高さである。文章で読めばあたりまえの動作のように思われるかもしれぬが、どう致しまして、美しく流れるように名刺を出すのは難しいものである。立ちながら「えーと」、「アレ」、「名刺は」などと名刺入れの中を探している手合いがいる。多いのは、手に持った名刺をヒョイヒョイと上下に動かしながら、「私、こういうものでして」という言葉を使う。こんな連中は、出合いがしらに人品骨柄を読まれてしまう。
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